磁性粉末製造の戸田工業(大竹市)は、リチウムイオン電池材と塩化ビニール安定剤、カラー印刷機向けトナー材料などの生産設備の増強を進めている。いずれも今後の需要拡大が見込まれるなどとし、総投資額は約60億円。今春の本格稼働をめざす。
リチウムイオン電池材は、子会社の戸田マテリアル北九州工場(北九州市)で製造。現在の月産約50トンの生産能力を120トンまで引き上げる。次世代ハイブリッド車に搭載するバッテリー需要を見込み、大手電機メーカーなどに売り込む。
塩化ビニール安定剤とトナー材料は、小野田事業所(山陽小野田市)で製造している。安定剤は塩化ビニールの劣化を防ぐ。亜鉛とアルミニウムを主原料にしている。現在は鉛を使った安定剤が主流だが、環境対策として切り替え需要が増えるという。
既に、月産約350トンのラインを備えた新工場を建設。試運転を続けている。既存の月産約250トンのラインと合わせ、月産約600トンにする。
また、トナー材料の生産設備は月産80トンから160トンと倍増する。同社は「有望な分野に重点的な投資を進め、需要増に素早く対応する」としている。
【写真説明】完成した塩化ビニール安定剤の新工場(中央の白い建物)