2009年01月02日(金) 09時36分
アルファブロガーに聞く「ブログの未来」(上)アジャイルメディア・ネットワーク 徳力基彦取締役(産経新聞)
インターネットを介して簡単に情報発信ができる道具として、多くの人が利用するブログ(日記風簡易サイト)。芸能人や著名人の情報発信の手段としてもすっかり定着した。なかには多くの閲覧者を集め、既存のメディア以上の影響力を発揮するブログも存在する。こうしたブログを手がける“アルファブロガー”と呼ばれる著名な執筆者らにブログの現状と未来を語ってもらった。(黒川信雄)
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■アジャイルメディア・ネットワーク取締役 徳力基彦(とくりき・もとひこ)氏
−−総務省は2008年の国内ブログ数が1600万件を超えたとの調査をまとめた。国内のブログサービスの現状をどうみるか
「1600万という数字は多すぎるという印象だ。この調査では、一方で『スパム』と呼ばれるウイルス配信が目的のブログも多数あると指摘しており、実際、積極的に更新されているブログ数は300万程度だろう。ただ、この数字でも極めて多いとはいえる。ジャーナリストなどの専門家が発信するケースが多い海外のブログとは異なり、日本では芸能人ブログを代表格にして、消費者個人が自ら日常で起きたことを日記のように書き留めるブログが多い。それが日本のブログ数を押し上げている」
−−ネットビジネスにおけるブログの存在意義とは何か
「製品やサービスの“口コミ効果”が見込めることが、ブログのビジネス性だといえるだろう。個人による評価を受け、その論評を参考に人々が購入行動をするというマーケティング効果だ。お金をかけ、大量の情報を配信する“マス”を対象にしたマーケティングと違い、ブログの口コミマーケティングは、より個人を経由したマーケティングとなる。大量に宣伝しても商品が悪ければ、ネットの価格比較サイトで徹底的に悪口を書かれる。ブログもまた同様で、商品の本当の特性をより反映したマーケティング効果が見込めるといえるのではないか」
「ただ、その一方で2006年ごろから、執筆者にお金を渡し、いわゆる“ヨイショ”記事(ブログ)を書く風潮が広まってしまった。それは本来のブログを使ったマーケティングとは本質的に異なるもので、重要なのはいかに利用者の本音を引き出せるかだと思う」
−−ブログを使った宣伝手法は今後も利用されるだろうか
「ブログという形にとらわれず、より広い意味でネットを活用したマーケティング手法は、今後も広がるだろう。口コミは、個人に対して非常に影響力のある宣伝手法だ。ただ、以前の口コミは特定の時間と場所においてのみ発生した。しかし、ネットが登場してきたことで、その口コミの情報は長期間、人々の目にさらされて伝播(でんぱ)する経路もはるかに多様化した。このマーケティング手法は、今後も広く活用されていくと思う」
−−メディアがブログを活用する動きも活発化している
「メディアがブログ、またはネットを活用する上で重要なのは、情報をカテゴリー化することではないか。最近、ブログで連載された料理のレシピを紹介した本が爆発的に売れた。このブログはレシピの紹介に特化しており、読者も『ここにくれば最新のレシピが分かる』という思いでアクセスが非常に多かった。既存メディアは多様な情報を配信しているが、ネット上では“わかりやすさ”が求められる。多様な情報を提供する既存メディアがそれをまとめて紹介する方法は、ネットには必ずしもそぐわないと思う。また、個人を売りにするブログも少なくないが、個人ベースで集めることができる閲覧者数はどうしても限定的になる。それと比べると、カテゴリー分けしたブログの方が集客力が高い」
徳力基彦(とくりき・もとひこ)名古屋大法卒。NTT、IT系コンサルティング会社などを経て07年7月から現職。「デジタル・ワークスタイル」「アルファブロガー」などの著書がある。36歳。東京都出身。
【ブログ】http://blog.tokuriki.com/
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