不法残留で強制退去処分となった韓国人の女が二〇〇八年四月、指紋を読み取り照合する「生体情報認証システム」による入国審査をかいくぐり、再び入国していたことが一日、法務省への取材で分かった。同省は、女の再入国は四カ月後に発覚し、不法入国で摘発された女は「特殊なテープを指に張りつけ、読み取り装置にかざした」と供述した、と説明している。
認証システムは〇七年十一月に導入された。過去に強制退去処分を受けた外国人や警察の指名手配者らの指紋などを登録するデータベースと照合し、一致すれば入国を拒否したり、警察に通報する。
法務省によると、女は長野市でホステスとして働いていた〇七年七月、不法残留を摘発され、強制退去処分を受けた。五年間は再入国できないのに、長野市に戻っていることが〇八年八月に判明し、東京入国管理局が再び摘発した。
東京入管の調べに対し、女は「ブローカーから偽造旅券を購入し、青森空港から入国した。入国審査では、ブローカーから受け取った特殊なテープを使った」などと供述。実際に青森空港には、入国審査を通過した記録が残っていた。
法務省は「セロハンテープでは通過できないことが実験で分かっているが、特殊な素材であれば、通過できるのかどうか調査を進めている」としている。