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2009年01月01日(木) 08時02分

裁判員制度 成否のカギは? 長嶺超輝さんに聞く産経新聞

 ■欠かせない「裁判官」の助言

 「裁判員制度が機能するかどうかは、裁判官の個性にかなり依存するのではないでしょうか」

【裁判員制度Q&A】選任の流れ、無断欠席のペナルティは?

 「裁判官の爆笑お言葉集」などの著書で、さまざまな裁判官に目を向けてきた長嶺超輝さんはそう話す。

 裁判員制度では6人の裁判員と3人の裁判官が評議を行い、有罪か無罪か、そして有罪の場合は量刑まで決める。とはいえ裁判員は法律や量刑については“素人”。犯罪を成立させるために必要な要件や、類似事件での過去の量刑などについて裁判官の助言が欠かせない。

 「争点でないところで、評議が言い争いの場になるかもしれない。うんざりしたり、打ち切ったりせず、限られた時間でも裁判官は結論を急がず、素人の意見をしっかり聞いてほしい」

 2年前の11月、早稲田大学の法科大学院が開催した裁判員制度の模擬裁判をみて、「普通なら気づかない視点が取り上げられていた」と有意義な制度だと感じた。しかし懸念も多い。

 「市民感覚を取り入れるといっても、裁判員になった人にとって、使命感はなかなかわかない。被告側にしても、いままで裁判官だったからこそ判決に信頼感があったけれど、裁判員の下した裁判結果に納得できないことも考えられる」

 評議の内容には守秘義務があり、漏らせば6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金となる。これについても「評議はブラックボックス。検証することができない」と指摘する。

 「法律の成立から5年の準備期間でできなかったのに、あと5カ月でやるのは無理かもしれないが、裁判員の選任から評議まで、きめ細かく説明を続けてほしい。それでも最初のうちは混乱するでしょう」

 ■長嶺超輝(ながみね・まさき) 昭和50年、長崎県生まれ。九州大法学部卒。弁護士を志したが7年連続で司法試験不合格となり、断念。現在はフリーライター。著書に「裁判官の人情お言葉集」「サイコーですか?最高裁!」など。

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