二〇〇九年の政局は自民、民主両党が政権を懸けて激突する衆院選の行方が最大の焦点だ。最近の各種世論調査では「民主党優勢」が伝えられるが、麻生太郎首相は政府の景気、雇用対策への期待を高め、態勢を立て直した上で〇九年度予算案と同関連法案成立後の春から初夏の衆院解散を狙う。
政権交代を目指す民主党はじめ野党にとっては、内閣支持率低迷のまま衆院選決戦に持ち込むのが理想的な展開。このため「春までがヤマ場」として、五日召集の通常国会では冒頭から徹底抗戦の構えで、与野党対立の激化は必至だ。
予算審議を乗り切っても支持率低迷が続けば、首相は解散を先送りし、あらためてタイミングを模索するとみられる。だが自民党内で「麻生首相で衆院選は戦えない」と首相の進退問題が浮上する可能性も少なくない。
首相や自民党執行部が「反麻生」の動きを抑え込んでも、支持率が上昇に転じなければ、七月にイタリアで開催される主要国首脳会議(サミット)後に退陣するサミット花道論が勢いを増すのは確実だ。
ただ自民党内では衆目の一致する「ポスト麻生」候補がいない上、民意を得ていない四人目の首相を「選挙の顔」として選ぶことへの世論の反発も予想される。
民主党は国会対応で特に、自民党内にも「ばらまき」との批判がある定額給付金問題や「一般財源化が不十分」だとの批判がくすぶる道路特定財源問題で揺さぶる方針。ともに関連法案の衆院再議決で自民党内の造反を誘う戦術を描いている。
自民党の十七人以上が造反し、衆院再可決に必要な三分の二以上の賛成が得られなければ、政権は窮地に追い込まれる。だが経済危機が叫ばれる中での国会攻防は世論の反発を買う可能性もあり、民主党執行部は難しいかじ取りを迫られそうだ。
首相は〇八年度第二次補正予算案と関連法案の早期成立を目指し、給付金の年度内実施を確実にしたい考え。〇九年度予算案も年度内成立に全力を挙げ、各種対策の実施を通じて「経済の麻生」を強くアピールしたい意向だ。
衆院選で民主党が過半数を獲得した場合だけでなく、過半数に達しないまでも獲得議席で自民党を上回り第一党になった場合は、政界再編の動きが活発化する展開が予想される。