2009年01月01日(木) 16時15分
新聞元旦紙面が浮き彫りにした 「環境」に続く09年キーワード(J-CASTニュース)
2009年を迎えた。今年は何が注目される1年となるのか。主な全国・経済紙の元旦紙面を読み比べてみた。08年は各紙が環境問題を特集記事で取り上げる傾向があった。09年はどうか。
■経済関係の連載が目立つ
朝日新聞は、1面・社会面ともにトップで経済問題の連載を掲載した。1月1日1面トップ(東京最終版、以下同じ)は、08年12月31日に始まった大型連載「世界変動」の第2回。ハリウッドの映画産業が行き詰まる様子を特集した。映画作りの場が、米国からインドなどに流出している様子を追ったもので、グローバル化がもたらした影響を描き出している。初回はゼネラル・モーターズ(GM)などの事例を通じて、金融危機が中国などへ波及している様子を報告した。
社会面トップでは、「明日を見つける へこむなニッポン」という連載が始まった。世界市場でも競争力がある日本「モノづくり」の事例が特集されている。米共和党の副大統領候補だったサラ・ペイリン氏の愛用めがねフレームが日本製だという、08年秋ごろ話題となった話などが紹介されている。
同じく経済問題の連載を1面トップに持ってきたのが、日本経済新聞だ。「世界この先」という連載で、見出しには「危機がひらく未来へ」とある。同連載第1部のテーマは「サバイバビリティ(生き残る力)」。通期での連結営業赤字転落が確実視されているトヨタ自動車が、次世代自動車として「太陽電池車」開発を進めている、とした上で、
「サステイナビリティ(持続可能性)よりサバイバビリティが問われる時代へ。21世紀の今、パラダイムは変わった」
などとしている。ほかにも、ITバブル崩壊をきっかけにiPodが誕生したケースなどを表にまとめて「危機は発明や発見の源泉」と説いている。
社会面では、「暮らし漂流」と題した連載が始まり、20代〜30代の雇用が不安定化していく様子を伝えている。
毎日新聞の1面トップは、新連載「アメリカよ 新ニッポン論」。08年10月、三菱UFJフィナンシャルグループが、米金融大手モルガン・スタンレーに対して約90億ドル(当時で約9000億円)の出資を決めた舞台裏を描いたもので、日米財務当局の動きを通じて、経済面での「日米同盟」のあり方を問うている。
社会面には、連載「孤独の岸辺」第2回目が掲載されており、08年6月に東京・秋葉原で通り魔殺人事件を起こした加藤智大被告の故郷、青森県での生活ぶりを描いている。
■読売、「特集なし」特ダネで勝負
読売新聞は、1面トップに「『生体認証』破り入国」との見出しを掲げ、「特ダネ」を掲載した。不法滞在で強制退去処分を受けた「韓国人の女」が、特殊なテープを指に貼って指紋を変造、指紋を照合して行われる入国審査(バイオ審査)をくぐり抜けて不法に再入国していたことが判明した、というものだ。
社会面トップでも、「生体認証」の記事を扱った。国外退去処分を受け、韓国で暮らしている女のインタビューを掲載。不法入国を請け負う韓国人ブローカーの存在と、ブローカーが用いている手口を明らかにしている。今回のケース以外にも、相当数の不法入国の可能性があるとして、記事では、「入国審査のあり方や、テロリストの入国阻止の方法を早急に検討し直す必要がある」と警告している。読売新聞には、政治面の対談と地方版以外には大型連載記事は載っていない。
08年の元日特集では「地球からの警告」(毎日新聞)、「環境元年」(朝日新聞)と、各紙がこぞって環境問題を取り上げた。しかし09年は、経済・雇用問題に関心が集まっているようだ。
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