「芋代官」として知られる石見銀山領の代官、井戸平左衛門の功績を語り継ごうと、島根県川本町川本の建設業山口嘉夫さん(62)が、戦前に出版された小説を現代表記に改め、自費出版で復刻させた。
「大森哀愁浪漫」(B6判、上下巻計417ページ、1890円)。川本町教育長を務めた故小笠原秀〓(ひであき)氏が、古文書や父親の語りを基に1941年に発刊した「芋代官切腹」が原典。享保の飢饉(ききん)の際に独断で代官所の備蓄米を領民に与え、サツマイモの普及に努めた話の内容はそのままに漢字の旧字体や武士言葉を現代風に直した。
毛利氏と銀山争奪戦を繰り広げた小笠原氏の興亡を、山口さんの父覚さんと小笠原為良氏(いずれも故人)が記した伝記も補筆して「石州白銀浪漫」(B6判、174ページ、1260円)として再刊した。各500部。弥山荘=電話0855(72)2645。
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【写真説明】完成した3冊を並べ「石見らしい土産ができた」と喜ぶ山口さん