準大手ゼネコン西松建設(東京)のOB二人が代表をしていた二つの政治団体が二〇〇六年までの十二年間に、与野党首脳らへの献金やパーティー券購入などで計約四億八千万円を支出していたことが三十一日、関係者の話などで分かった。
西松建設の社員から会費を集め、同社指定の議員側に献金する「会社ぐるみの政治献金」(関係者)が多かったとされ、政治家個人への企業献金を禁じた政治資金規正法に抵触する恐れがある脱法行為の疑いが強い。
元幹部の外為法違反容疑事件を捜査中の東京地検特捜部もこの事実を把握、同社の経理実態などを調べているもようだ。
西松建設関係者の話や政治資金収支報告書によると、二団体は同社の元土木営業本部営業管理部長二人が代表を務めた新政治問題研究会(一九九五年設立)と未来産業研究会(九九年設立)。
都内の同じビルの一室に置かれ、二〇〇六年末に解散したが、計約五億一千五百万円の会費を集め、与野党幹部ら国会議員側への献金やパーティー券の購入で計約四億八千万円を支出していた。
〇四—〇六年の主な献金先は、小沢一郎・民主党代表や森喜朗元首相らの資金管理団体、自民党二階派の政治団体など。
課長級以上の社員のうち賞与が比較的高い成績優秀者を西松建設人事部から知らされ、一口六万円の会費納入を依頼。同意した社員に対し、年二回ある賞与の時期に請求したという。
献金先の指定は土木、建築の各営業本部が管理本部を通じて総務部に指示。OBが会社を訪れた際に伝えたとされる。同社関係者は「出世しそうな社員を選び、口の軽そうな者は外されていた」と話している。
政治家個人は一つだけ指定できる資金管理団体で政治資金を取り扱えるが、企業献金については政党か政党の政治資金団体以外に対しては禁止されている。
西松建設をめぐっては、業務上横領罪で起訴された元幹部が裏金一億円を無届けで国内に持ち込んだ外為法違反容疑で特捜部が捜査している。