30日の国債市場で、長期金利の指標となる新発10年債利回りが一時、1・155%を付け、日本経済がデフレの真っただ中にあった2003年8月以来、5年4カ月ぶりの水準に下がった。景気悪化が長引いて金利は低空飛行を続けるとの見方が強まり、機関投資家が国債の買いを活発化したためだ。
国債利回りと連動する住宅ローン金利や、銀行から企業への貸出金利もさらに低下する可能性がある。
11月の鉱工業生産指数が前月比8・1%低下と急減するなど、最近の経済指標で景気の厳しさが鮮明になった。原油価格の大幅下落や円高による輸入価格下落も加わり「来年はデフレ色が強まりそう」(外資系証券)との声が増え、金利先安観をもたらした。
日銀が市場から長期国債を買い切る額を増やし、国債増発による長期金利の上昇懸念が和らいだことも、国債相場の上昇(金利は低下)を支えている。