【バンコク30日共同】タイのアピシット新首相は30日、首都バンコクの国会で同日予定されていた就任後初の所信表明演説を、急きょ外務省で行った。反タクシン元首相派の新政権に反発し、タクシン元首相の支持者が国会前を封鎖するなど抗議デモを続けたことから、衝突を避けるための措置。国会議事堂以外の場所での国会開会は極めて異例という。
タイでは、首相府やバンコク国際空港の占拠など反タクシン派勢力による一連の抗議行動で政情が混乱。アピシット新政権は政治への信頼回復が最優先課題とするが、今度は一転してタクシン派が抗議行動に乗り出したことで、波乱の船出となり、今後も厳しい局面が続きそうだ。
首相は演説で「国民の和解と国際社会への信頼回復、経済復興に全力を尽くす」と強調した。
演説は当初、29日午前に予定されていたが、タクシン派の支持者数千人が国会前に集結し周辺道路などを封鎖したため、30日午前に延期された。政府は警察を通じ、封鎖を解除するよう説得を試みたが、タクシン派は応じなかった。