三原市久井町で29日朝、乗用車が突っ込んで民家の3人をはねて死なせた事故は、年末年始の準備を進める仲むつまじい家族を突然、奈落(ならく)の底に突き落とした。周囲の住民も突然の悲劇に言葉を失い、がっくりと肩を落として悲しみの涙にくれた。
亡くなった盛谷浩二さん(51)と妻の良美さん(41)、次女里歩ちゃん(4)は事故当時、庭にいた。仲むつまじく花壇で作業していた最中に、鉄の塊と化した秋保輝行容疑者(25)の乗用車に次々にはねられた。
車は衝撃でフロントガラスが割れ、車体は右側を中心に大きくへこんでいた。花壇もぐしゃぐしゃに崩れ、国道には急ブレーキ跡が2メートルほど残っていた。
秋保容疑者は救急車が駆け付けると、ぐったりする里歩ちゃんを抱きかかえたまま立ちつくしていた。警察官が声を掛けても「よく分かりません」などと返すのがやっとだったという。
一家は4人暮らし。屋内にいて難を逃れた長女を含め、休日には家族で庭いじりしたり、サイクリングに出掛けたりしていた。4月から保育所に通っていた里歩ちゃんが迎えに来た良美さんに抱きつく姿を近所の人は微笑ましく見守っていた。
【写真説明】自宅の庭に矢印の方向から突っ込んできた乗用車にはねられ、3人が亡くなった三原市久井町の現場(29日午後1時5分)