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2008年12月29日(月) 20時31分

日本が「身代金」2億円…イランの中村さん誘拐事件スポーツ報知

 イランで昨年10月に武装集団に誘拐された横浜国立大4年の中村聡志さん(24)が約8か月後の今年6月に解放された事件で、日本政府が解決のための費用として「外交機密費」から約2億円相当をイラン側に支払っていたことが29日、分かった。事実上の身代金だったとみられる。日本政府関係者が明らかにした。

 事件の解決に向け、金のやりとりがあったことが判明したのは初めて。イラン、日本両政府は中村さん解放後、身代金の提供はなかったと否定していた。関係者は、中村さんを誘拐した武装集団に金が実際に渡ったかどうかについては確認していない。

 関係者は、約2億円が「費目を明らかにしなくてよい、外務省の報償費から出た」としている。このほかにも今後、中村さんの解放交渉に関与した地元の部族関係者らに「貧困支援」などの形式で資金を提供する計画が検討されているという。

 別の政府関係者によると、1999年8月に中央アジア・キルギスで日本人技師4人がイスラム武装勢力に拉致され、約2か月後に解放された事件でも、「経済協力」の形で300万ドル(約2億7000万円)の身代金が支払われたが、日本政府は公式には一貫して否定している。

 報償費は外交機密費とも呼ばれ、外交活動を有利に展開するため、情報提供者への謝礼などに使われ、使途は詳細には明らかにされないケースが多い。

 中村さんは昨年10月、イラン南東部ケルマン州を旅行中に武装集団に誘拐された。日本政府は安全最優先を要請。イラン当局などが交渉にあたり、今年6月に解放された。(共同)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081229-OHT1T00189.htm