「派遣切り」や「雇い止め」による非正規労働者の失業が急増する中、暮れも押し迫った27日も、職を求めて多くの人が各地のハローワークに詰めかけた。
東京都豊島区のハローワーク池袋では、約450人がパソコンで求人情報を検索したり、窓口で職員に相談したりした。相談員によると、知人に連れられ初めて訪れた元派遣労働者の男性(26)は先月末、寮付きの勤め先を失った。所持金はわずか1万円。ネットカフェに寝泊まりしながら、食いつないできたという。
希望は寮付きの仕事。条件に合う飲食店の求人が1件見つかり、年内の面接にこぎ着けた。「なんとしても採用されるよう頑張りたい」。思い詰めた表情で話していたという。
青木和夫職業相談部長(50)は「今月の求職者は昨年の3割増。地方の工場で仕事を失い、ネットカフェに泊まって職を探す人も増えた」と語った。
新宿区のハローワーク新宿へ26日に相談に訪れた男性(36)は、携帯電話の部品製造工場の派遣労働者だった。契約打ち切りの通告は10月下旬。ほぼ毎日ハローワークに通ったが、応募した約20社にはどこも書類選考で落とされた。
カプセルホテルやマンガ喫茶を転々とし、消費者金融からの借金は数十万円に膨らんだ。日雇いのバイトで生活費を賄い、蓄えはない。「社員寮のある会社が絶対条件。せめて、屋根のある所で年を越したい」
ハローワークの相談は通常なら27日の土曜日が最終日となるが、厚生労働省は雇用情勢の悪化を受け、都市部を中心に全国58か所のハローワークと、新宿区、名古屋市、大阪市の3か所に設置した非正規労働者専用の窓口「キャリアアップハローワーク」で29、30日も相談に応じることにした。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081209-206556/news/20081227-OYT1T00816.htm