【ニューヨーク27日共同】米ハーバード大学は27日までにホームページで、「文明の衝突」などの著書で世界的に知られる米国の政治学者、サミュエル・ハンチントン氏が24日、マサチューセッツ州マーサズ・ビンヤードの介護施設で死去したと発表した。81歳。死因は明らかにされていない。
1927年、ニューヨーク市出身。長年の民主党支持者で現実主義に立脚した保守的な思想の政治学者とされる。冷戦終結後の93年、米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に発表した論文「文明の衝突」を96年に加筆して出版。世界が西欧、イスラム、中国、日本など8大文明圏に分かれ、共存を拒否しながら紛争を巻き起こすとの内容は大きな論議を呼んだ。旧ユーゴスラビアでの内戦、2001年の米中枢同時テロで「イスラム原理主義対西欧文明」対立の構図が立証されたと受け止められ、世界的なベストセラーとなった。
同大の発表などによると、ニューヨーク市内の公立高校を卒業後、飛び級により18歳で名門エール大を卒業。陸軍で兵役後、シカゴ大で政治学修士号(48年)、ハーバード大で博士号(51年)取得。同大で50年から2007年まで教壇に立った。17冊の政治学の単行本を著し、学術論文は90を超える。