全国の地・高裁と最高裁で今年言い渡された死刑判決は二十七件で、昨年より十九件少なかったことが二十八日、共同通信の集計で分かった。殺人と強盗が不況のどん底だった二〇〇三年をピークに減少していることを反映し、死刑判決の増加傾向が止まった形だ。今年死刑が確定したのは十人(昨年二十三人)で、現在の確定者は百人。
一方、今年の死刑執行は五回計十五人。確定者を上回り、十人以上の執行は一九七六年以来。死刑廃止国が増え、国連で死刑停止決議などが相次ぐ中で、突出した執行急増国となっている。
集計は最高裁、法務省の統計と関係機関・団体への取材に基づく。
今年の死刑判決のうち地裁は、長崎市長射殺事件の
高裁判決は、最高裁で無期懲役が破棄され、審理が差し戻された山口県光市の母子殺害事件の元少年(27)ら十四件。暴力団組長ら三人射殺事件の
最高裁判決はオウム真理教元幹部
死刑が確定した十人は最高裁判決を受けた被告のほか、控訴や上告を取り下げた二人。宝石商ら強盗殺人事件の元警察官
今年死刑を執行されたのは、幼女連続誘拐殺人事件の
死刑は七六年に十二人執行後、年一—四人で推移し、九〇—九二年は執行がなかった。九三年以降は年一—七人で、昨年は九人に上った。
日本に対しては、国連の自由権規約委員会が十月、死刑廃止検討を求める勧告を出した。十二月の国連総会では、死刑存続国に執行停止を求める決議も採択されている。