共産党が二〇〇五年の前回衆院選で、法定得票数に達しなかった候補者の供託金が没収され、選挙費用の実費負担を強いられたことにより、党全体で十三億円以上を支出していたことが二十八日、分かった。次期衆院選の小選挙区候補者を百五十人程度に絞り込むと決めた背景には、こうした経済的な理由もあり、擁立する場合は参院比例得票の8%以上を獲得した選挙区を目安にした。
衆院選では公選法に基づき、小選挙区候補は三百万円、小選挙区と比例代表の重複候補や比例代表単独候補は六百万円を供託しなければならない。小選挙区の場合、得票が有効投票数の十分の一を下回ると、供託金が没収される。
共産党は前回、二百七十五の選挙区に候補者を擁立したが全敗。二百二十三人が供託金を没収され、党は計七億三千八百万円(選挙区六億六千九百万円、比例代表六千九百万円)を負担した。
供託金を没収されると公営選挙が適用されなくなるため、はがきやビラ、ポスター、選挙カー、選挙事務所などの費用負担が加わる。「一選挙区で供託金と同じぐらいはかかる」(幹部)ことから、党本部は約六億円に上るとみている。
与党は国政選挙の立候補者が支払う供託金を引き下げ、没収基準を緩和する公選法改正案を先の臨時国会に提出。共産党に擁立を促し、反自民票を分散させて民主党への追い風を弱める狙いが明白だったが、継続審議になった。
共産党は現行制度が立候補の制限につながり、民主主義の妨げになると批判してきたが、与党案については「自民党の思惑は分かっている」(幹部)と突き放しており、候補者の絞り込み方針は変更しない考えだ。