太平洋戦争中、激戦地となった硫黄島(東京都小笠原村)の戦没者遺族である松江市鹿島町御津、田中優さん(77)に、父兼茂さん=当時(35)=が持ち歩いていた地元の佐太神社のお守りなどの遺品が返還された。60年以上が過ぎての「再会」に田中さんは「本人が帰ってきた気がする」と目を赤くした。
遺品は、中のお札に「佐太神社」と記されたお守りと1944年11月下旬に親せきから兼茂さんへ送られたはがき。田中さんたち親族はこのほど松江市の遺族会館で、生還者や遺族でつくる硫黄島協会広島支部の島根の世話人から遺品を受け取った。
今年8月、米軍横須賀基地勤務の米国人が元米兵から預かったとみられる硫黄島での戦没者の遺品11点を硫黄島協会本部(横須賀市)に託した。同協会は厚生労働省に調査を依頼。そのうち、持ち主が判明したのは兼茂さんの遺品だけだったという。
【写真説明】お守りとはがきを見つめる田中さん(右端)。後列は説明をする硫黄島協会の世話人