2008年12月28日(日) 10時59分
日本のクリエーター シューズデザイナー・三原康裕さん(産経新聞)
■人と芸術との融合を追求
シューズデザイナーの第一人者として知られる36歳。今でこそ国内外で活躍する日本人の靴職人は珍しくないが、その先駆け的な存在だ。現在、自身のブランド「MIHARAYASUHIRO」で靴や洋服のデザインを手がけるほか、スニーカーの世界的メーカー、プーマのデザインも担当するなど世界から注目されている。
目標は、シューズデザイナーとしてファッションの歴史に名を残すこと。靴への情熱は、いちずだ。
「靴は小物と呼ばれ、靴職人も『小物なので、ひっそり作っています』といった感じで、謙虚なんです。皆、技術はすごいけれど、業界全体は斜陽産業で、ファッションデザイナーのような影響力がない。ならば、靴の業界を担う人間として、僕が世間に通用するデザインの服を作ることで、この業界に豆電球の光でもいい、少しでも光を当てたいと思っている」
長崎県出身。全国農業協同組合連合会(全農)で鶏の研究をしていた父と、洋画家の母の間に生まれた。
デザイナーを志した動機は、「自給自足でもいい、会社員よりも(自分自身で)何かを作ってメシを食べたかった」。2浪の末に多摩美術大に進学。実技の習得は人の何倍も早かった中で、靴の構造だけは難しいと感じたのが今のキャリアの原点だ。
「靴は、芸術性は高くなくても輝きがあったり、デザイン性があってもガラクタに見えたりするものがある。靴の存在の強さに魅せられ、挑戦したくなったのかも」
ファッション界は今、デザイナーの生む作品やその個性よりも、ブランド名や企業としての資本力が強まり、作品は売れるかどうかが重視される。そんなご時世の中、モノ作りで最も大事にしているのは「人と芸術の融合」だという。
「クリエーションとは人に考えるきっかけを作り、人の心を動かすこと。僕の作品は、そのスイッチでありたい」(小川真由美)
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