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2008年12月28日(日) 00時46分

高千穂線73年の歴史に幕 復興かなわず全線廃止中国新聞

 美しい渓谷を抜けて“神話の里”へ向かう鉄道として観光客に親しまれ、台風被害で廃線状態となっていた宮崎県北部の高千穂線(延岡—高千穂)が二十八日、運休したまま全線廃止となり、旧国鉄時代から七十三年の歴史に幕を下ろした。

 土地やレールは沿線自治体へ無償譲渡され、民間会社「高千穂あまてらす鉄道」社長の作家高山文彦たかやま・ふみひこ氏(50)らが、その一部を鉄道公園にして遊具のような小さな車両を走らせる計画を呼び掛けている。

 同社の社員佐藤美樹さとう・みきさん(27)は「高千穂線にはこれまで多くの思い出をありがとう、お疲れさまと言いたい。生活の足としては残せなかったが、ぜひ鉄道公園化を実現したい」と話した。

 高千穂線は一九三五年、旧国鉄が部分開通。八九年に宮崎県などが出資する第三セクター「高千穂鉄道」が運行を引き継いだが、二〇〇五年九月の台風で鉄橋が流失するなどし経営継続を断念した。

 全線約五十キロのうち、延岡—槙峰間は昨年九月に廃止が確定。残る槙峰—高千穂間については「高千穂あまてらす鉄道」の前身の会社が再開を目指したが、資金を確保できなかった。

【写真説明】宮崎県の高千穂鉄道のトロッコ列車=03年(宮崎県高千穂町提供)

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812280107.html