二〇〇八年の日本経済は米国発の金融危機が直撃、戦後最長の景気拡大に終止符が打たれ、景気後退が鮮明になった。世界的な景気悪化で輸出が大幅に減少し、生産も低迷。自動車や電機メーカーによる非正規労働者らの人員削減が広がり、雇用情勢も悪化、消費が落ち込んだ。とりわけ九月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破たん以降、情勢が大きく変化し、日本の経済指標は軒並み大幅に悪化した。
貿易統計速報(通関ベース)によると、十一月の輸出総額は前年同月比26・7%減と現行の統計方式となった一九八〇年以降で過去最大の減少率を記録した。輸出減に伴い自動車や電機メーカーなどが減産を拡大し、十一月の鉱工業生産指数(〇五年=一〇〇、季節調整済み)は九四・〇と前月比8・1%低下し、過去最大の下落幅となった。
派遣社員や期間従業員ら非正規労働者を中心に人員削減が広がり、十一月の完全失業率は前月より0・2ポイント悪化し3・9%だった。
雇用不安が高まる中、消費者心理も冷え込んだ。十一月の国内新車販売(軽自動車を除く)は前年同月比27・3%減と十一月としては過去最大のマイナス幅になった。十一月の首都圏マンション発売戸数は、前年同月比14・9%減と過去最長の十五カ月連続で前年割れ。十一月の全国百貨店売上高は前年同月比6・4%減(店舗調整後)で十五年ぶりの大幅な落ち込みだった。
日経平均株価(225種)は十月二十七日にバブル後最安値を更新、円は急騰し一ドル=九〇円を突破する場面も。想定を超えた円高は、好業績を続け日本経済を引っ張ってきた自動車や電機など輸出関連企業の業績に打撃を与えた。トヨタ自動車は〇九年三月期の連結営業損益が赤字に転落する見通し。
〇八年七—九月期のGDP(季節調整値)改定値は実質で前期比0・5%減(年率換算で1・8%減)。米ITバブル崩壊などの影響を受けた〇一年四—六月期から同十—十二月期の三・四半期連続以来、約七年ぶりの連続マイナス成長だった。
日本の景気がいつ回復に向かうかは米国経済の先行きが鍵を握るが、「来年後半に米国経済が回復するという平均的な予測に積極的な根拠はない。米国の景気後退は、戦後最長となる可能性が高い」(日銀の白川方明総裁)との見方もあり、〇九年の日本経済も厳しい状況が続きそうだ。