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2008年12月27日(土) 11時43分

【大みそか名勝負】(1)安田忠夫が涙の番狂わせ(2001年)産経新聞

 「INOKI BOM−BA YE」(さいたまスーパーアリーナ)で、猪木軍とK−1軍による総合格闘技ルールによる全面対抗戦が行われた。

 新日本プロレスのエース、永田裕志が、“プロレスラー・ハンター”の異名を取っていたミルコ・クロコップ(クロアチア)の左ハイキックによってわずか21秒でTKO負けするなど、プロレス・ファンが大ショックを受ける展開となった。だが、メーンでプロレス党の留飲を下げる奇跡のシーンが待っていた。

 1勝4分け1敗と両軍五分の対戦成績で迎えた大将戦。大相撲廃業から長期のブランクを経てプロレス入りし、“平成の借金王”と呼ばれた38歳の安田忠夫が、絶頂期にあったジェロム・レ・バンナ(フランス)を下した。1ラウンドにはコーナーに詰められ、馬乗り状態でボコボコに殴られたが、2ラウンドに元小結の意地が炸裂(さくれつ)した。九重部屋時代に横綱千代の富士や北勝海の胸を借りて鍛えたぶちかましでバンナをひっくり返し、2ラウンド2分10秒、上から前腕でのどを抑えつけるギロチンチョークで、バンナからタップを奪った。

 これで猪木軍の勝ち越し。「お父さん、勝ったよ!」。会場で観戦していた14歳の一人娘に向かって絶叫。離婚後、離れて暮らしていた娘をリングに呼び入れて、肩車すると、「人生最高です!」と笑みを見せた。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000520-san-fight