渡辺元行革相が造反！民主の解散決議案に賛成（スポーツ報知）
内閣支持率が低迷する麻生太郎首相（６８）に、痛烈なクリスマスプレゼントが贈られた。“反麻生”の急先鋒（せんぽう）・渡辺喜美元行政改革担当相（５６）が２４日、衆院本会議で、民主党が提出した衆院解散・総選挙を求める決議案に賛成する造反劇を演じた。決議案は与党の反対多数で否決され、自民党は渡辺氏を戒告処分としたが、首相の求心力の低下を改めて露呈した格好だ。渡辺氏の行動を受け、党内の「反麻生」の動きが活性化する可能性が出てきた。
「賛成の諸君の起立を求めます」。河野洋平衆院議長が、民主党提出の衆院解散・総選挙を求める決議案の採決を呼びかけると、異変が起きた。自民党議員の席で１人、立ち上がった渡辺氏。起立した民主党議員らからどよめきと拍手が起きるなか、無表情で立ち続けた。麻生首相は苦笑いでこの光景を見守った。
会見した渡辺氏は「決議案は、出せるものならこっちから出したかった」とニンマリ。「（賛成は）私の単独行動。誰にも相談していない」として、自らの離党、年内の新党結成、野党議員との連携は「ありません」などと否定。それでも今後、党内の誰かと連携する可能性については「分からない」と答えた。
麻生首相の眼前での謀反だ。渡辺氏は経済危機に対処するために、衆院の早期解散に伴う「危機管理内閣」を発足させるべきと繰り返してきた。８日には自身主催のセミナーで「総裁リコール案」や新党結成のシミュレーションなどを披露。この日の造反で麻生政権に痛打を浴びせ、政権の足元の揺らぎを見せつけた格好だ。
党内では古賀誠選対委員長が「麻生不信任案に賛成したのと同じこと。非常に残念」と語るなど、幹部からは厳しい声が。その一方で「気持ちは分かる」（田村耕太郎参院議員）との声も。政府関係者は「造反予備軍は多い。閣僚経験者の造反劇は政界再編前夜を思わせる」とした。
渡辺氏を巡っては、２１日に永田町で「地元関係者に『離党するかもしれない』との電話をかけた」との情報が広がった。後援会幹部が真偽を確かめようと面会を求めると、秘書を通じて「会いたくない」と拒まれたとされる。町村信孝前官房長官は２４日午後、官邸で河村建夫官房長官と会い、「オレも福田内閣で行革相だった渡辺氏には苦労させられた」と苦々しい表情を見せた。
会見で「おとがめは何でも受けますから。除名でもなんでもしてください」と自信満々に語った渡辺氏に対し、下ったのは党規律規約で８段階に定めた処分のうち、２番目に軽い戒告処分。党紀委員会は開かずに細田博之幹事長が決めた。
「単独行動で影響も皆無」なのが理由と言うが、事態を早急に沈静化させたい執行部の思惑が見え隠れする。「離党勧告などの厳しい処分を科せば、渡辺氏がヒーロー扱いされかねない」（幹部）との懸念もあるようだ。
渡辺氏はこの処分に「大変スピーディーですね。政府の緊急経済対策もこれくらいスピーディーにやってほしい。（処分内容は）ちょっと肩すかしの感じ」と、皮肉たっぷりに語っていた。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081225-OHT1T00101.htm