2008年12月25日(木) 11時46分
<私設私書箱>振り込め詐欺対策で本人確認厳格化 警察庁(毎日新聞)
振り込め詐欺事件で、郵便局の「エクスパック」に現金を同封させ、いわゆる私設私書箱を受取先とする手口が増えていることから、警察庁は犯罪収益移転防止法で、私設私書箱業者に対して義務づけている、契約者の本人確認業務の範囲を拡大することを決めた。同法の施行規則を改正し、来年5月から施行する。
現行の施行規則は私設私書箱業者に対して原則、本人確認などを義務づけているが、契約者との間で現金書留や銀行から送付される預貯金通帳などいわゆる現金を扱わない契約内容であれば本人確認を免除している。
福岡県警が今春摘発した振り込め詐欺事件で悪用された私設私書箱業者が、契約者の本人確認をしていなかったとして経済産業省から今年7月に是正命令を受けるなど、エクスパックと私設私書箱を悪用した「現金引き渡し」型が増加。
詐欺グループがこの免除規定を知ったうえで利用契約を結んでいたり、業者側も「エクスパックは本来現金を扱わないもの」との理由で本人確認が行われておらず、捜査の障害となっていた。このため、警察庁は除外規定を削除し、本人確認が必要な取引対象を拡大することにした。
警察庁によると振り込め詐欺被害は今年11月末で約263億円。10月には特別警戒を実施し、ATM(現金自動受払機)への警察官の張り付けなどでATMからの振り込め対策を推進し、一定の成果を上げた。一方で「現金引き渡し」型が増加傾向にあり、警察庁はエクスパックの表書きに現金を同封できないことを明記するなどの対策を進めていた。【河嶋浩司】
【ことば】犯罪収益移転防止法
マネーロンダリングやテロ対策を目的に08年3月に施行。対象を金融機関以外にもファイナンス業者、郵便受け取りサービス(いわゆる私設私書箱)業者や弁護士など12業者に拡大。それぞれに指定した取引に関して契約者の本人確認、確認・取引資料の保管を義務づけ、また、取引が犯罪にかかわる収益やマネロンの疑いがある場合は届け出の義務が課せられる。違反した場合には所管省庁が是正命令などの行政指導を行い、従わなかった場合には2年以下の懲役か300万円以下の罰金が科せられる。
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