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2008年12月24日(水) 00時00分

「強欲な資本主義」に歯止めを中国新聞

 【解説】ため込んだ内部留保を温存したまま進んでいる非正規労働者の大量削減は、危機に直面した企業が最初に放り出すものを明らかにした。しかし日本が突入した低成長時代は縮小するパイを公平に分ける知恵が重要だ。きしみが目立つ「強欲な資本主義」に歯止めをかけ、再出発できるか。政治も経済も転換点に立っている。

 二〇〇二年二月から始まり戦後最長とされる今回の景気拡大局面で企業は好業績にわいた。新光総合研究所のまとめでは、〇八年三月期の東京証券取引所一部上場企業(金融を除く)の経常利益の総額は前期比4・7%増と、五年連続で過去最高を更新した。

 対照的に賃金は低迷。厚生労働省によると、現金給与総額(従業員五人以上の事業所)の前年比伸び率は〇二年から三年連続マイナスとなり、〇七年も0・7%減。大きな原因は低賃金を強いられる派遣など非正規労働者の増加だ。

 派遣労働の対象業種拡大などもあり、非正規労働者は全体の約三割に膨らんだ。一方で「派遣切り」は、非正規労働者が雇用の調整弁である実態をさらけだし、職とともに住居まで失う現状は働く環境の整備を怠ってきた問題も突きつけた。急速に進んだ雇用分野の規制緩和が働く側に負担を強いた現実は否めない。セーフティーネットの構築など課題は山積している。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812240080.html