「派遣切り」は派遣社員らが契約期間の途中で、企業から一方的に契約打ち切りを通告される事態。契約期間を更新しない「雇い止め」と比べて労働者側に厳しい対応だけに、倒産の危機にひんしているなど、企業にやむを得ない事情があるかが問われる。契約解除の正当性は個別に判断されるケースが多いとされ、企業の契約打ち切りに疑問符がつくこともありそうだ。
「雇い止め」は、正社員の解雇が厳しく制限されているため、非正規労働者の契約期間を半年や三カ月などと短くして細切れの雇用を繰り返すことで、人員の調整弁として企業側に使われてきた側面もある。しかし契約を何度も更新することが慣例となっている職場や、自動的に更新を重ねてきた場合などは「実態は期間の定めのない契約と同じ」(法曹関係者)とする判例もある。このため、経営悪化など合理的な理由がない契約の打ち切りが無効となることもある。
ただ、更新回数が多くても、企業と労働者が毎回書面をかわして、有期雇用を確認している場合は有効となるケースもある。「個別の実態をみて、契約解除の有効や無効が判断される」(厚生労働省労働基準局)のが実情だ。