経済の急速な悪化で幅広い世代の労働者が職や住居を失う中、路上生活者の支援ボランティアを育成する講座が21日、広島市中区の市まちづくり市民交流プラザであり、約30人が受講した。
大阪を拠点に長年、ホームレスへの支援を続け、貧困問題に関する著作も多い市民グループ「野宿者ネットワーク」の生田武志代表が講演した。
生田氏は「今の非正規社員の失業は、バブル崩壊後に多くの日雇い労働者が仕事を失ったのと同じ」と分析した。誰かが座ることで誰かが席を失う「いす取りゲーム」に例えながら「貧困は社会の構造的問題だ」と指摘し、偏見や自己責任論を批判した。
経済的な貧困にとどまらず、社会から孤立してしまう「関係の貧困」もあるとし、「それを解決するのが社会的支援の役割」と強調した。受講者は今後、夜回りや入浴サービスなどの実践も学ぶ。
【写真説明】生田さん(奥左)から「現代の貧困」の実情や支援のあり方を学ぶ受講者