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2008年12月22日(月) 22時31分

高校理数科も脱・ゆとり、裁量で高度授業も…指導要領案読売新聞

 文部科学省は22日、1999年以来となる高校の学習指導要領改定案を発表した。

 理科と数学では、難しい内容に踏み込まないよう設けられていた「歯止め規定」を撤廃。学校や教師の判断で高度な授業ができるよう改められた。英語も教える単語数を1300語から1800語に増やし、「授業は英語で行うのが基本」との強化策を打ち出した。

 今年3月の小中学校の改定に続き、「ゆとり教育」からの転換を目指す内容になっている。

 今回の高校改定案は、文科相の諮問機関「中央教育審議会」が1月に示した答申に沿って策定。文科省が国民に意見を公募した上で、来年3月までに告示する。実施は2013年4月の予定だが、理科と数学は12年4月から前倒しで実施する。

 ゆとり教育を目指した99年改定の現行指導要領では、授業数は全日制30コマ(1コマ50分)を標準としていたが、改定案では必要に応じて30コマ以上行うことができるとした。上限は示さず、「夏季、冬季などの休業日に授業を設定できる」ともした。

 教科別では、理科と数学、英語で「脱ゆとり」を鮮明にした。理数の現指導要領では、「因数分解は複雑なものに深入りしない」「素粒子研究が宇宙の始まりの研究と結びついてきたことには簡単に触れる程度とする」−−などの歯止め規定が目立ったが、これを全廃。学校や教師の裁量で高度な学習に踏み込むことを可能にした。

 英語は「聞く」「話す」にも力を入れるとして、新科目「コミュニケーション英語1」「同2」「同3」を新設。さらに「授業を実際のコミュニケーションの場とする」と明記し、英語を使って授業を行う方針を初めて示した。教師側も英会話力を高めることが求められる。

 一方、「生徒の理解に応じた英語を用いる」とのただし書きも付けており、どの程度、英語で授業するかは現場の判断に任せるという。

 英単語も標準学習モデルを1300語から1800語に増加。詰め込み教育批判があった78年改定以前の水準に戻るという。この結果、中学と合わせると高校卒業までに計3000語を学ぶことになる。

 「言語活動の充実」とのスローガンも新たに加え、文系教科だけでなく、数学、理科などにも授業に論述や討論などを取り入れ、日本語の表現力を高めるよう求めた。また、学習レベルが追いつかない生徒のために、主な教科で中学の学習内容を復習する授業を行うよう促した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081222-00000061-yom-soci