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2008年12月22日(月) 21時11分

雇用、消費への波及懸念 月例経済報告下方修正産経新聞

 22日に発表された12月の月例経済報告は、景気の基調判断を3カ月連続で下方修正し「悪化している」となった。日本は輸出減による企業部門の不振というかたちで、世界経済悪化の影響に直撃され、深刻な状況に陥っている。今後、すでに「急速に悪化しつつある」(月例報告)雇用情勢が一段と厳しさを増す恐れが強い。それが先行きへの不安を増幅させ、個人消費の悪化につながり、さらに企業業績を悪化させるという負の連鎖が現実味を増している。(高橋寛次)

 今回の月例報告では、前回「急速に高まっている」と強調していた、景気を下押しする圧力が顕在化したと判断。9月中旬の米証券大手、リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)に端を発する金融危機の影響が本格的に国内景気に波及してきたことを示した。

 主要経済指標では、世界的な信用収縮を受け、輸出減による企業部門の不振が目立った。7〜9月の法人企業統計で設備投資と経常利益の大幅な悪化が示され、日銀短観(短期経済観測調査)でも大企業製造業の業況判断指数は過去2番目の悪化幅となった。

 雇用では、10月の有効求人倍率(求職者1人に対する求人数)は0・80倍と低迷している。しかも、企業は求人を控えるだけでなく、社会問題化しつつある非正規労働者の雇い止めや、学生の採用内定取り消しなどに乗り出しており、雇用環境は悪化の一途をたどっている。

 今回の月例報告では個人消費を「おおむね横ばい」と据え置いたが、与謝野馨経済財政担当相は「これから個人はますます用心深くなり、買い控えというものが、自動車などの耐久消費財で考えられる」と指摘。雇用悪化が今後、消費の本格的な落ち込みにつながり、それが企業業績をさらに悪化させる恐れは強い。

 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「賞与減や(株価低迷による)逆資産効果に雇用悪化による不安が重なり、来年の初売りで消費の冷え込みが顕著になる恐れがある」と指摘している。

 一方、内閣府が22日発表した平成20年7〜9月期の「GDP(国内総生産)ギャップ」は1・1%減と、2四半期連続でマイナスとなった。これは需要の不足により、物価が下落しやすい状況を示す。デフレにより企業収益の回復が停滞し、景気後退を長期化させる懸念が強まっている。

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