2008年12月21日(日) 17時13分
「日々自分磨きをしていますか」75歳のメーキャップ・アーティスト(産経新聞)
「日本人としての誇りを取り戻してほしい」
きらびやかなハリウッドの世界でメーキャップ・アーティストとして活躍するカオリ・ナラ・ターナーさんが、このほど出版した「メイクアップライフ女性力を上げる50の言葉」(ソフトバンククリエイティブ)に込めた願いだ。
海を渡って40年以上。カオリさんの人生はハリウッド映画さながらにドラマチックだ。14歳でプロダンサーになり、浅草新世界でトップスターに。日本文化使節団として世界中を回った。昭和40年、香港公演で出会ったハリウッドのメーキャップ・アーティスト、ビル・ターナー氏と電撃結婚。けがで引退した後、夫の手伝いをしたのがきっかけで、41歳でメーキャップの道に入った。
「日本の女性はお化粧がうまくなって、ファッションも洗練された。自立した女性も増えた」と感じる一方で、「街を歩いてもテレビを見ても、きれいな言葉遣いのできない大人が多い。日本に帰るたびにそれがひどくなっているのに失望した」と内面の美が損なわれていくことに危機感を覚えている。
「日々自分磨きをしていますか」「日本人の自分を誇りにしていますか」…。そんなメッセージを著書を通じて発信し、「大好きな日本」の再生を願う。同時に、米国に正しい日本文化を伝えることも自分の使命だと感じている。3年前には、「米国人の間違った『日本観』を正したい」とハリウッドで着物ショーを開催し、大成功を収めた。
昨年は自身がプロデュースした短編映画でカンヌ映画祭に参加した。「今度は長編映画をつくりたい。10年はかかるわね」と笑う。好奇心と行動力は健在だ。(古川有希)
◇
昭和8年、東京生まれ。メーキャップ・アーティストとしてかかわった作品は「フラッシュダンス」「チャーリーズ・エンジェル」「アリー・マイ・ラブ」「キル・ビル」など多数。平成15年、日本人初のエミー賞を受賞。18年、旭日双光章を受章。
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