記事登録
2008年12月21日(日) 00時08分

景気優先で歳出規模最大 09年度予算の原案内示中国新聞

 中川昭一財務相は二十日午前の臨時閣議に二〇〇九年度予算の財務省原案を提出、各省庁に内示した。景気への配慮を最優先し、政策経費である一般歳出を大幅拡大、自治体に配る地方交付税も増やしたため、一般会計総額は前年度当初予算比6・6%増、過去最高の八十八兆五千四百八十億円に膨らんだ。

 「霞が関の埋蔵金」といわれる特別会計の積立金を六兆円以上取り崩し、税外収入をかき集めるが、税収が大幅に減少する見通しのため、新規国債発行額は三十三兆二千九百四十億円と当初予算段階で四年ぶりに三十兆円を超える。一般会計に占める国債発行額の割合(国債依存度)は37・6%に上昇、基礎的財政収支の赤字幅も約十三兆円に広がり、財政健全化は遠のく。

 中川財務相は記者会見で「経済や雇用の悪化を食い止め、世界に先駆けて(景気を)上向きにする目標でつくった」と強調した。

 一般歳出は9・4%増え、過去最高の五十一兆七千三百十億円。景気対策に使える一兆円の「経済緊急対応予備費」を新設し、概算要求基準(シーリング)を突破。社会保障費の抑制幅を小さくし、基礎年金の国庫負担引き上げに必要な約二兆三千億円も計上した。

 自動車関係の税収を道路整備に回す「道路特定財源」を廃止、すべて使途を限らない一般財源にし、六千五百億円を特別会計から一般会計に振り替えることも一般歳出のかさ上げ要因となる。

 地方交付税は、自治体が雇用対策などを実施できるよう一兆円を加算。一般会計から交付税特別会計への繰入額(特例交付金などを含む)を6・1%増の十六兆五千七百三十三億円とし、地方に配慮する。

 一方、税収は企業業績の悪化などで13・9%減の四十六兆一千三十億円にとどまる。税外収入は、財政投融資特別会計から四兆二千三百五十億円など、前年度の二倍強の九兆一千五百十億円を確保する。

 内示を受け、政府、与党は重要課題推進枠など計三千五百三十億円の配分をめぐり本格的な調整に入った。従来型の復活折衝を見直し、雇用、地域活性化など麻生太郎首相が重視する政策に重点配分する。

 社会保障、教育など経費項目別の予算額は、内示段階では発表されなかった。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812210040.html