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2008年12月21日(日) 13時25分

円高で急増するFX投資 投資初心者は「円じり安」を予想?J-CASTニュース

 1ドル80円台に突入した円高で活況を呈しているのが外国為替証拠金取引(FX)だ。円高基調のときは口座を開設する人が増える、と言う傾向は相変わらずで、1ドル100円台から一気に90円台に上昇した10月は、「取引量がふだんの月の2倍以上伸びた」(NTTスマートトレード)という。11月、12月も前年に比べると増えている。

■口座数 10月の伸びは2倍以上

 2007年3月に開業したNTTグループのFX会社、NTTスマートトレードは、08年9月4日に1万口座を突破した。その後に起こった急激な円高。その影響で10〜11月の口座開設も大きく増えた。「月平均650口座のところ、12月は約2倍の伸びをみせた」(同社営業企画部・工藤隆部長)という。

 FX大手の外為どっとコムの10月末の口座数は31万9482件。前月末に比べて1万3949件増えた。この夏は月1万件を割っていたが、11月との2か月間では2万6466件も増加した。

 外為オンラインも9月末の口座数が5万6479件だったのが、10月、11月で約1万件ずつを積み上げて、11月末で7万8229件に達した。同社も08年4月から9月までは月平均5000件弱で推移していたから、2倍超の伸びだ。

 外為どっとコムは「これだけ激しく相場が動くと、かえって様子を見ようという人もいますから、すごく増えたという印象はあまりない」と慎重だが、サイバーエージェントFXなどの他社も1.5倍以上増えるなど、FX業界は活況にわいている。

 FX投資をはじめる人の多くは円高基調のときといわれる。08年でいえば、3〜4月と、10月以降だ。FX投資の経験がない初心者は、将来的に円が値下がりして外貨が上昇すると予想する、「外貨買い」のポジションを建てる人が多い。たとえば、ちょうど海外旅行に出かけるときに円をドルに換えるときのように、身近に置き換えられるわけだ。

 一定のレンジ(値幅)で上下する相場では、デイトレーダーのように常に相場を気にしていなければ、もうからない。初心者にはむしろ、継続的に上昇する局面を迎えたとき、あるいは継続的に下落局面になったときのほうが売買しやすい。

 2008年12月18日の東京外国為替市場は1ドル87円台まで上昇、19日は日銀の追加利下げの発表で89円台に戻したが、「円が急騰したときは、中・長期的にはその反動でじり安になる傾向にあるので、個人投資家には買いやすい」ようだ。

■米国のゼロ金利政策がどう響くか

 ただ、米国のゼロ金利政策で「今後は多少投資の仕方がかわってくるでしょう」と、前出のNTTスマートトレードの工藤部長はみている。12月18日時点では、日本の金利と米国の金利が逆転したことで、スワップ金利(各国通貨ごとに違う金利の調整値)がとれなくなったからだ。

 スワップ金利は、金利の高い通貨を買い、金利の低い通貨を売るとその差額分を受け取ることができる。つまり、これまでの「ドル買い円売り」の局面では、売った円よりも、買った米ドルの金利が高ければ金利分が受け取れる。それが日米の政策金利の逆転で、スワップ金利分を投資家が「支払う」かもしれなくなったというわけだ。

 たとえば、12月18日時点でNTTスマートトレードの米ドル・円のスワップ金利はゼロ。つまり、買っても売ってもスワップ金利の授受はない。

 なかには「円買いドル売り」のポジションを建てる投資家も出てきそうだ。それはそれで、取扱量が増えればFX業者の活況は続くことになる。


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