2008年12月20日(土) 16時59分
お子様映画と侮れない「ウォーリー」の完“声”度(夕刊フジ)
たった1人で地球の掃除を続けるお掃除ロボット・ウォーリーと、宇宙船でやってきた最新鋭ロボットの“純愛”映画「WALL・E/ウォーリー」(公開中)。正月映画の本命だが、この日本語吹き替え版で宇宙船艦長の声を担当しているのが草刈正雄(56)。
描かれる艦長は超メタボ体形で、引き締まった草刈は正反対。「正直、自分でいいのかと思った」とは、体形ではなくせりふのしゃべり方だ。
【「R2−D2」の生みの親、音響効果の大御所が渾身】
「僕はセリフをボソボソとしゃべるし、声も細いスタイルでやってきたから」
吹き替え版の監督から「キャラクターと草刈さんとのギャップが面白い」とのアドバイスを胸に臨んだ。手応えを問うと「非常に勉強になった。自分らしさを出している」としつつ「全然なってないんじゃないかなぁ」と苦笑い。
「声や音というものが本当に重要だと改めて気付かされた」と草刈が言うように、ウォーリー製作陣は「音」にこだわり抜いた。その象徴がサウンド・デザイナーのベン・バード(60)起用。4度のアカデミーを獲得。「R2−D2」の声を生み出し、「E.T.」や「インディ・ジョーンズ」シリーズの音響効果を担当した大御所だ。
ベンは「監督から『実写のSF映画、“R2−D2ザ・ムービー”みたいな形にしたい』と言われた」と話す。その工夫が、アニメなのにアニメとは聞こえない音の製作。「『スター・ウォーズ』の約3倍、2600もの音声ファイルを3年かけて作ったよ」というから気合がうかがえる。
太陽電池で動くウォーリーの充電完了音にアップル社のMacの起動音を使ったり、ダース・ベイダーの呼吸音そっくりな音が登場するのも、ベンの粋な遊び心だ。
アカデミー賞前哨戦の1つ、ロサンゼルス映画批評家協会賞もかっさらった。お子様ムービーと侮るなかれ、だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081220-00000018-ykf-ent