2008年12月20日(土) 15時43分
野球のセオリー、実は“錯覚” 名古屋大大学院・加藤教授らデータ分析(産経新聞)
■四球出塁・エラー・本塁打は流れ変える/ラッキー7の攻撃
■「過去の回数より印象の強さ」
「四球で出塁させるなら、ヒットの方がましですね。試合の流れが悪くなる」というフレーズを野球解説者はよく使う。しかし、それは根拠があることなのだろうか。行動経済学が専門の名古屋大学大学院・加藤英明教授は、神戸大学大学院准教授の山崎尚志氏とともに、05年度のセ・パ公式戦(交流戦を含む)846試合、1万5143回を分析。同年の全イニングの得点(失点)確率26・4%、得点(失点)平均0・495点と比較しながら、解説者のいう「セオリー」を検証した。
■写真で見る■4失点して逆転を許した阪神・久保田
「先頭打者を安打ではなく四球で出すと、試合の流れが悪くなる」 加藤教授のデータ通りに動く球団をX球団とする。X球団が、先頭打者に安打を打たれた場合、四球を出した場合、それぞれの失点確率は安打40・5%、四球39・0%。失点平均は安打0・832、四球0・833。ほとんど差はないが安打の方が失点確率は高い。
ではX球団のその裏の攻撃。四球を出すことで流れが変わるなら、攻撃のリズムも狂う。だが安打を打たれた場合の得点確率は25・4%、四球の場合は27・2%。得点平均は安打0・454、四球0・540。四球で先頭打者を出した場合の方が、裏の回で得点する確率は高いのだ。
「2アウトから出塁されると流れが悪くなる」
これが正しければ、三者凡退で打ち取った次の回は、そうでなかったケースよりも得点確率は高いはずだ。
だがX球団がB回表を三者凡退で抑えた場合、B回裏の得点確率は26・2%、得点平均0・492点。X球団がB回表二死から走者を出し得点された場合、B回裏の得点確率は28・1%、得点平均0・580点。全イニングの平均値と比べると、三者凡退で打ち取っても平均値以上に得点確率は上がらず、走者を出しても得点確率は下がらなかった。
同様に「エラーをすると流れが悪くなる」「ホームランは流れを変える」などを調べたが、そのような結果は出なかったという。
加藤教授は「過去に起こった回数よりも、印象の強さが、ゲームの流れといわれているのではないでしょうか」と話す。
また「ラッキー7」といわれるが、加藤氏が得点確率と得点平均を調べると六回表、裏が最も高い。先発投手の球威が落ちても勝ちパターンの投手交代には早い。六回は監督の采配(さいはい)が問われるイニングでもある。
加藤教授と山崎氏は、このような調査をまとめ、「野球人の錯覚」(東洋経済新報社)を出版している。
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