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2008年12月20日(土) 03時01分

高校生内定取り消し76人、さらに悪化のおそれも読売新聞

 9月から採用試験が解禁された高校生の就職活動で、いったん内定を得たのに、景気悪化の影響で取り消しを通告されるケースが相次いでいることが19日、「日本高等学校教職員組合(日高教)」の調査でわかった。

 取り消しにならないまでも、来年4月からの自宅待機をすでに命じられている生徒もいる。日高教が把握している内定取り消し者は、全国で76人。厚生労働省が先月25日時点で調査した29人を大きく上回り、1か月もたたないうちに高卒予定者の就職戦線が悪化している現状が浮き彫りになった。

 日高教は今月11日、27道府県の地方組織に調査を依頼し、19日時点で内定が取り消された生徒の数をまとめたほか、地方組織のない20都県については、教育委員会や労働局の発表をもとに集計した。それによると、高卒予定者が内定取り消しになったのは長崎県が12人で最も多く、岡山県11人、鹿児島県9人、山形県8人と続いている。

 このうち愛知県では、自動車部品工場から内定を受けていた生徒が今月になって、突然、「4月からラインが止まるので、やむを得ず内定を取り消す」と通告された。この生徒は、再び就職活動を始めたが、景気悪化の影響で高校生の求人が激減しており、希望の職種は見つからないままだという。同県では、まだ就職していないにもかかわらず、「4月から自宅待機をしてくれ」と会社側から命じられた生徒もいた。

 山形県では、生徒が採用試験を受けた後、合否の連絡がなかなか来なかったため、会社に問い合わせたところ、いつの間にか求人票が取り下げられ、求人自体がなかったことになっていたという。静岡県では事務職から販売職への変更を打診された生徒が断ったところ、「内定を辞退したことにしてくれ」と一方的に言われたケースもあった。

 文部科学省によると、来春卒業予定の高校生の就職内定状況(10月末時点)は前年同期比0・6ポイント減の66・8%で、6年ぶりの減少。日高教によると、現場の教諭からは「今後、さらに内定取り消しが増加するおそれがある」という声が相次いで寄せられているという。

 日高教の藤田新一書記長は「社会に踏み出す第一歩の所で生徒たちを失業者にしていいのか。企業は、内定を取り消すことの重大さをもっと考えてほしい」と訴えている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081220-00000002-yom-soci