国土交通省は十八日、派遣契約の解除や解雇などで職と住居の両方を失った人を優先して、低所得者向けに整備している公営住宅で受け入れるよう求める通知を全都道府県に出した。都道府県を通じ市区町村にも受け入れを呼び掛ける。失職まで一定の収入があった人でも入居できるよう、公営住宅の目的外使用の手続きを緩和する。
通知では、受け入れを求める対象として(1)解雇などに伴い寮や社宅から追い出された人(2)失業で収入がなくなり民間の賃貸住宅の家賃が払えなくなった人—などを例示、入居期間は一年を超えない範囲としている。各自治体は通知を基に、入居を認める人や家賃の減免額などを独自に定める。
直前まで基準を超える収入があった人を公営住宅で受け入れることは、目的外使用に当たるためこれまでは補助金適正化法に基づき事前に国土交通相の承認を得る必要があった。通知ではこの手続きを緩和し、入居を認めてから一カ月以内に事後報告するよう求めた。
公営住宅は二〇〇七年三月末時点で約二百十九万戸あり、うち一年以上空室となっているのは約一万二千戸。
一方、神奈川県と栃木県は同日、解雇により住宅を退去させられた人らに県営住宅の一部を提供すると発表。このほか愛知県と山口県も失業者に県営住宅の提供を検討している。厚生労働省は年内をめどに、雇用促進住宅のうち廃止が決まっていない空室約一万三千戸を提供すると表明している。