指定暴力団山口組系旧五菱会のヤミ金融事件で、法外な高利を暴力的に取り立てられたとして、愛媛県の11人が計約3500万円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決で、高松高裁は19日、元本と利息の全額を含めた計約2400万円の賠償を命じた。
被告はヤミ金グループを統括していた梶山進受刑者(59)。
矢延正平裁判長は判決理由で、ヤミ金が貸し付けた金は「元利金などの名目で違法に金を受け取るための道具にすぎない」と指摘。「被害者が返済した金そのものが財産的損害」として、利息のほか元本も損害に含まれると認定した。
被害者は財産的損害と同額の慰謝料を求めたが、矢延裁判長は一部のみ認めた。
1審松山地裁、2審高松高裁判決はいずれも、元本を「被害者の『利益』に当たる」などとし、利息分のみの支払いを命じたが、6月の最高裁判決は元本を「反倫理的行為の手段」と認定。元本を損害額に含める判断をし、賠償額算定のため高松高裁に差し戻した。