2008年12月19日(金) 00時18分
日銀、コマーシャルペーパー買い切り検討 資金供給の拡充策(産経新聞)
日銀は18日、初日となる政策委員会・金融政策決定会合を開き、追加利下げの是非や企業が資金調達のために発行するコマーシャルペーパー(CP)の買い切りなど資金供給の拡充策を検討した。国内外の経済・物価情勢や市場動向などを踏まえ、19日に結論を出す。日銀はCPの買い切りには慎重姿勢を示してきたが、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和策の導入を表明したほか、政府も経済対策の面からCPの買い切りを日銀に促しており、利下げも含む一段の金融緩和を迫る包囲網が強まっている。
資金供給の拡充策としては、CPの買い切りのほか、長期国債の買い入れの増額、平成15〜18年にかけて行った資産担保証券の買い取り復活など幅広い案を検討している。
このうちCPの買い切りは、売り戻しの条件をつけずに金融機関からCPを購入する案が有力だ。これまでも日銀は金融機関から、一定期間以内に売り戻す条件を付けてCPを買い入れていたが、こうした条件がなくなれば金融機関はCPを買い戻す必要がなくなり発行企業が破綻(はたん)して資金を回収できなくなるリスクを回避できる。
金融危機による市場の混乱で信用収縮が起こり、CPや社債の主な買い手である金融機関が慎重姿勢を強めており、大企業は市場から直接資金調達することが難しくなっている。CPの11月の新規発行残高は約9兆4000億円と前年同月に比べ、3割以上減少した。このため、銀行には大企業からの借り入れ依頼が殺到しているが、「資金需要に対応しきれていない」(大手銀行幹部)のが実情だ。
日銀がCPの買い切りに踏み切れば、「金融機関はCPを購入しやすくなり、CP市場の機能不全の解消につながる効果が期待できる」(第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト)という。
日銀内では、CPの買い切りには企業の破綻リスクを負うことになるため、抵抗感が強かったが、政府は12日に、日本政策投資銀行によるCPの買い取りなどを盛り込んだ追加経済対策をまとめ、日銀にも歩調を合わせるよう求めている。
一方、FRBが16日に政策金利を0〜0.25%に引き下げ、日米の金利水準が逆転したことを受け、金利の高い円を買う動きが強まっている。日銀が利下げを見送れば、円高に拍車がかかる恐れもあるだけに、政府・与党や産業界からは利下げを訴える声があがっている。
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