2008年12月16日(火) 23時42分
【ルーシーさん事件】状況証拠による立証の難しさ浮き彫り(産経新聞)
1審で東京地裁が無罪と判断したルーシーさん事件。控訴審で東京高裁は一部有罪と認定した。検察側は、織原被告の犯行を示す直接の自白や物証、目撃がない中で、被告の犯行を示唆する「状況証拠」を積み重ねた。控訴審はその状況証拠を1審より重く評価したことになる。
双方が提出した証拠や主張は、1審と控訴審で大差はない。1審、控訴審とも(1)織原被告と一緒だった平成12年7月1日夜の友人への電話を最後にルーシーさんが消息を絶っている(2)4日夜に織原被告がチェーンソーやセメントを購入した−ことなどを認定した。
こうした点を指摘しながら、1審は「犯行の状況が明らかではなく犯罪の証明がない」とした。だが、控訴審は(1)ルーシーさんの失踪(しっそう)後に織原被告がインターネットで死体の処理方法を検索している(2)遺体を包んだ袋などが織原被告が購入したものと類似している−ことなども考慮して、死体損壊・遺棄を織原被告の犯行とした。
一方、死亡について「死因が特定できておらず、状況も明らかになっていない」と織原被告の犯行と認定しなかった点で、1審、控訴審の判断は共通した。
ほぼ同じ証拠をもとにしながら、一部の認定が分かれた今回の事件。裁判官によって大きく評価が変わってしまう点で、状況証拠のみに頼る立証の難しさを改めて浮き彫りにした。
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