汚染された血液製剤によりC型肝炎に感染したとして、患者らが国や製薬会社に賠償を求めた薬害肝炎訴訟で、全国原告・弁護団と被告の日本製薬は14日、東京都千代田区の同社本社で、事実上の和解となる基本合意書に調印した。
原告は既に国のほか、大半の原告にとって被告企業の田辺三菱製薬(大阪市、旧ミドリ十字)などと合意。1社残っていた日本製薬とも合意したことで、2002年から全国的に起こされた集団訴訟は約6年ぶりに決着した。各地の原告は国と和解した上で製薬会社への賠償請求を放棄する手続きを取る。
調印式では三浦勉社長は「被害の発生と拡大を防止できず、被害者の皆さまに心よりおわびしたい。命を守る製薬会社として深く反省する」と謝罪。
実名を公表した北海道在住の原告細見悟司さん(41)は「長年苦しめられている人間が大勢いることを真剣に受け止め、2度と被害者を生み出さないための対策をはっきりと示してほしい」と訴えた。
現在も追加提訴は続いており、原告団は、カルテが残っていないなど投薬証明のない患者を含め1万人以上とされる被害者全員の救済などを実現する肝炎対策基本法の制定を求め、活動を続ける。
弁護団によると、現在の原告は約1200人で、うち日本製薬の血液製剤PPSB—ニチヤクによる感染者は約30人。
合意書は、9月に田辺三菱側と交わしたものとほぼ同じ内容で、日本製薬が血液製剤による薬害発生と被害拡大を防止できなかった責任を認めて謝罪。再発防止に努め、恒久対策として、治療のための新薬開発などを行うとしている。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081214-OHT1T00207.htm