不妊治療実施施設の医師らでつくる日本生殖医学会は十三日までに、夫婦間以外の第三者から提供された精子、卵子を使った体外受精による不妊治療を容認する方針を固めた。家族や知人からの提供も認める。来年三月をめどに実施のための指針をまとめる計画だ。
夫婦間以外の体外受精をめぐっては、厚生労働省の部会が二〇〇三年、匿名の第三者からの提供に限って認めるとの報告書をまとめたが、法制化の動きは止まったまま。ほとんどの産婦人科医が加盟する日本産科婦人科学会は「現時点では実施するべきでない」との立場を取っている。
一方で、国内でも一部の医師が夫婦以外での治療実施や出産例を公表。海外に渡り精子や卵子の提供を受ける夫婦も相当数いるとされる。早急な対応が求められる中で現場レベルの動きが進んだ形だ。
生殖医学会によると、治療の対象は自分の精子や卵子を使って子どもを得ることができない夫婦。提供者には原則として制限は設けない。提供は無償だが、交通費などの実費は支給する。生まれた子が出自を知る権利を認め、一定の年齢に達して本人が希望すれば、提供者の名前を告知するなどとしている。
学会は来年二月中に倫理委員会で指針案をつくり、三月の理事会に諮る方針。
生殖医学会倫理委員長の