港町尾道の冬の風物詩「デベラ干し」が、尾道市の吉和漁港一帯で最盛期を迎えた。漁港近くの正徳町、漁業笹井満雄さん(58)方では、今月初旬に作業を開始。屋上には縄に通した約1万匹のデベラが寒風に揺れる。体長は10—20センチで大きいほど乾きが遅く、妻直子さん(57)が触りながら確かめる。
デベラはタマガンゾウヒラメの別名。うろこや内臓を取り、えらから口にかけて長さ約2メートルの縄を通す。縄1本に50匹をつるし、4、5日ほど干して出荷する。瀬戸内の珍味として全国から引き合いがある。「今季の魚はよう太っとる。いい品物になりそう」と笹井さんは顔をほころばせる。作業は来年1月末ごろまで続く。
【写真説明】師走の寒風を受けるデベラを触り、乾き具合を確かめる直子さん(撮影・増田智彦)