国土交通省の出先機関が発注した公用車運転業務をめぐり、車両管理業の日本総合サービス(東京)広島支店(広島市中区)の運転手7人が12日、出先機関の職員から直接仕事の指示を受ける「偽装請負」の状態にあるとして、解消のため国交省による直接雇用を勧告するよう広島労働局に申告した。
7人は、国交省広島国道事務所と広島県内の出張所で公用車の運転や管理業務をしている。申告書などによると、支店は国道事務所と業務委託契約を結んでいるが、実際の仕事は上司の指揮監督下にはなく、国道事務所職員から運行計画や残業などの指示を直接受け、5—15年間勤務してきたという。
国交省の公用車運転業務は同社を含む3社が長年、約9割を受注してきた。このため、今年7月には公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査。こうした中、国交省は従来の指名競争入札から一般競争入札への変更を決めた。
7人を代表して男性社員(55)が広島市中区の広島弁護士会館で記者会見。「会社は国交省OBの天下り先で、その中で生まれた問題」と指摘。入札制度の変更で受注が減少しているとして「既に多くの仲間が解雇された。国の都合で生活不安に陥っている実態を明らかにしたい」と訴えた。
同社は「申告書の内容を承知しておらず、コメントできない」。整備局は「今年2月、管内事務所に車両管理業務に不適切な行為がないよう指導しており、指摘の事実はないと考える」としている。
【写真説明】広島労働局への申告後、記者会見する男性社員(広島市中区の広島弁護士会館)