産業革命以降に放出された大量の二酸化炭素(CO2)の影響で、本来弱アルカリ性の海水が酸性化する現象が起きており、これに歯止めがかからないと今世紀半ば以降、サンゴ礁など海の生態系に深刻な悪影響が出るとする報告書を、米環境保護団体「オシアナ」の研究グループが13日までにまとめた。
グループは「海水が酸性化すると、アルカリ性環境を好むサンゴの骨格や貝の殻ができにくくなる。カキや真珠の養殖業の崩壊や漁獲量減少など、人間の経済活動にも打撃になる」と指摘。各国に排出規制の強化を呼び掛けた。
CO2が海水に溶けると酸性のイオンができ、溶け込む量が増えるほど海水の酸性化が進む。
グループによると、海水の表層の酸性・アルカリ性の度合いを指数化した水素イオン指数(pH、中性は7・0)は、1750年には8・19の弱アルカリ性だったが、2008年は8・09とやや酸性化し、このままのペースだと今世紀末には7・78になるという。pHが1減ると酸性度は10倍になる。
海水のアルカリ度とサンゴの生息状況に関する実験などから、大気中のCO2濃度が450ppmに近づく2020年ごろにはサンゴが骨格をつくることが難しくなる。
温暖化による海水温上昇の悪影響も加わり、今のペースで大気中の濃度が高まると、今世紀末までには熱帯や亜熱帯にかけてのサンゴはほとんど消滅するとみられる。