刑務所や少年院収容者の仮釈放・仮退院に関する「意見聴取制度」に基づき、各地の地方更生保護委員会に意見を述べた事件の被害者や遺族は、制度が始まった昨年十二月から今年九月までに、計百六十二人だったことが十三日、法務省のまとめで分かった。各委員会から加害者の仮釈放審理などの連絡を受けたのは約八百八十人で、意見を述べた割合は約二割。
意見の内容は「仮釈放は早すぎる」などと反対が多かったが、「二度と事件を起こさないよう指導してほしい」と加害者を許す気持ちを伝えたケースもあったという。
法務省によると、意見聴取制度は、二〇〇五年十二月に閣議決定された犯罪被害者等基本計画に盛り込まれ、犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法を統合して昨年六月成立した更生保護法に規定された。
全国八カ所にある地方更生保護委員会は、まず法務省・検察庁による被害者通知制度を使い、刑務所収容者らの仮釈放などを審理することを被害者側に伝える。更生保護法には、被害者側から申し出があれば、必ず意見を聴かなければならないと定められ、意見は審理に反映される。
今年九月末までの十カ月間に地方更生保護委員会の委員や保護観察官に面会したり、手紙を送ったりして意見を伝えた百六十二人は、交通事故関連が三割弱と最も多く、続いて傷害二割弱、詐欺一〜二割、性犯罪が約一割だった。
法務省は今後、加害者が無期刑の場合、被害者側の申し出の有無にかかわらず、拒否しない限り意見聴取することを原則化する方針を既に決めている。
一方、意見聴取制度と同時に、保護観察中の加害者に被害者らの心情を伝える制度も始まり、今年九月末までに、被害者ら四十四人が保護観察所を通じて気持ちなどを述べた。