2008年12月13日(土) 22時45分
14日に“最後の和解” 薬害肝炎訴訟(産経新聞)
汚染された血液製剤でC型肝炎に感染したとして、患者らが賠償を求めた薬害C型肝炎訴訟で、全国原告・弁護団と被告企業の日本製薬(東京)との間で事実上の和解となる基本合意書が14日に結ばれる。国や他の製薬会社とは既に和解が成立。1社だけ残っていた日本製薬との合意により、平成14年から各地で提起された集団訴訟は全面解決に向かう。だが、患者の掘り起こしなど肝炎問題をめぐる課題は山積したままだ。
基本合意に調印するのは、日本製薬の血液製剤「PPSB−ニチヤク」を使って肝炎に感染した原告25人。合意書には、企業側が薬害を起こした責任を認めて謝罪し、再発防止に取り組むことなどが盛り込まれている。
今後、訴訟終結の手続きが取られ、原告らには今年1月に成立した救済法に基づく給付金が支払われる。
ただ、他の製薬会社の汚染製剤も含め、薬品の投与量と感染率から推計した薬害患者は全国に約1万人とされている。これまで提訴したのは1337人にすぎない。今後は薬害患者を掘り起こし、どこまで救済の範囲を広げられるかが課題となる。
その最大の障害となっているのが「投薬証明の困難さ」だ。救済法では、投薬と感染の因果関係が認められなければ、給付金が支給されない。
厚生労働省は製剤を投与した医療機関名を公表するなど、各機関に調査を依頼し薬害患者の掘り起こしを進めている。しかし、カルテなど投薬の証明となる資料を確認できた施設は28%にとどまるなど、作業は遅々としている。
カルテが見つかっても、患者が死亡していたり連絡が取れないケースも多く、投薬を受けたことが判明している約1万2000人についても54%しか連絡が取れていないのが実態だ。
一方、医療機関などでの注射器使い回しでB型肝炎ウイルスに感染したとするB型肝炎問題をめぐっては、集団訴訟が各地で起こされている最中で、解決への道のりは遠い。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081213-00000584-san-soci