【ワシントン12日共同】マコーマック米国務省報道官は十二日の記者会見で、六カ国協議首席代表会合が北朝鮮の核計画申告に対する検証方法の文書化に合意できなかったことを受け、核施設無能力化の見返りの一部である経済・エネルギー支援を中断する方針を明らかにした。
北朝鮮が重視する支援の中断をちらつかせることで譲歩を引き出す狙いとみられるが、北朝鮮側が反発を強める可能性もあり、核施設無能力化作業のさらなるずれ込みなど、成り行きは一層不透明になってきた。
報道官は「検証方法で進展がなかった以上、(支援の一部である)重油の搬送もこれ以上、進むことはない」と明言。「そのことは北朝鮮を除く五カ国の共通認識であり、北朝鮮も分かっていると思う」と指摘し、「行動対行動」の原則を貫く姿勢を強調した。
重油百万トン相当の支援は、日本を除く四カ国が個別に提供を進め、五割以上が完了。日本の参加拒否で未定となっている二十万トン相当の負担国をめぐる調整にも影響が出そうだ。
今後の対応について報道官は、北朝鮮の交渉担当者が平壌に戻り本国で相談した結果、「検証方法で(合意の)署名をする可能性はある。ボールは彼らの側にある」と、北朝鮮が拒否し続けている核施設からのサンプル(試料)採取の文書化での歩み寄りを促した。
報道官は、現在ロシアが列車で北朝鮮向けに一部の重油を搬送中である状況を説明した上で、この搬送分については「引き返すのは難しい」と述べた。