2008年12月13日(土) 11時42分

＜東金女児遺棄＞容疑者逮捕から１週間　供述の任意性に懸念（毎日新聞）

　千葉県東金市田間の保育所園児、成田幸満（ゆきまろ）ちゃん（当時５歳）が遺体で見つかった事件で、同市東上宿、無職、勝木諒（りょう）容疑者（２１）が県警東金署捜査本部に死体遺棄容疑で逮捕されてから１３日で１週間。勝木容疑者が０１年に軽い知的障害があると診断されていることから、捜査当局は文字や絵を描かせて説明させるなど慎重に取り調べを進めているが、弁護人は供述の任意性確保に懸念を示している。

　県警によると、勝木容疑者は調べに「覚えていない」と答えることも多く、一生懸命に思い出そうとしている様子で、やりとりに時間がかかるという。だが、「靴と衣類をビニール袋に入れて捨てたのは僕です」と容疑は認めているという。

　幸満ちゃんの衣類が入っていたレジ袋には勝木容疑者の指紋が付いており、中から母親のものとみられる毛髪も見つかった。県警は死体遺棄の状況や時刻について、目撃情報との整合性を確かめるとともに、押収したアニメの本や衣類に幸満ちゃんの遺留物がないか分析を進め、２人が一緒にいた物証をさらに捜している。

　一方、接見した弁護人は「勝木容疑者は容疑者という言葉も分からないようだ」と明かした。善悪の判断はつくとみられるが、供述が誘導されることを危惧（きぐ）。ビデオ録画による取り調べの可視化を求め、１日おきに接見している。

　こうした動きに、県内で障害者への支援活動を主宰する女性（４５）は「障害の細かい状況が、ここまで暴かれてしまう」ことに疑問を投げかけた。自身も知的障害児の母で、「容疑者個人のプライバシーが公になり、『障害者だからこその事件』と印象づけられてしまうのでは」と、偏見が助長されることを心配した。【寺田剛、中川聡子、斎川瞳】

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