東京・西麻布で開業する平田季則(としのり)・司法書士(38)が2007年までの2年間で約2億4000万円の所得を隠し、所得税約9000万円を脱税したとして、東京国税局から所得税法違反の疑いで東京地検に告発されたことがわかった。
司法制度改革で司法書士にも簡易裁判所での訴訟手続きの代理が認められるようになり、債務整理の専門家である平田司法書士の報酬は一気に増えたが、収入の一部を除いて申告していた。
平田司法書士は「債務整理.JP」というホームページを開設し、24時間対応の相談ダイヤルも設けている。関係者によると、貸金業者からの多重債務の解決を依頼した顧客らから得た報酬のうち一部しか申告しない「つまみ申告」を繰り返し、脱税した疑いがあるという。隠した所得は預金されたままになっていた。
特別研修を受け、法相に認定された「認定司法書士」が、簡裁の訴訟で弁護士のように依頼人の代理人ができるようになったのは03年4月から。平田司法書士は04年3月に認定された。
さらに金利過払い訴訟の判決で、最高裁が04〜06年に利息制限法と出資法の二つの上限金利の間にあるグレーゾーン金利を事実上認めないと相次ぎ判断。弁護士や司法書士業界では「過払いバブル」と呼ばれるほど、債務者がグレーゾーン金利分の返還を求めて貸金業者を簡裁に訴えるケースが急増し、平田司法書士も大幅に収入を伸ばした。
グレーゾーン金利は09年末にも撤廃される見通しで、業界関係者は「収入があるうちに蓄えを増やそうとしたのではないか」と指摘している。全国に約1万9300人いる司法書士のうち認定司法書士は約1万1600人。脱税は司法書士法に基づく懲戒処分の対象になる可能性が高いという。
平田司法書士は取材に対し、「お話しすることは何もない」と回答している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081212-OYT1T00035.htm?from=main3