高齢化が進む日本初の大規模住宅都市・千里ニュータウン(大阪府吹田市)にあるマンションの建て替え計画に反対し、最後に残った夫婦に、大阪地裁の執行官が12日、明け渡しを求めて強制執行した。
夫婦はともに81歳。管理組合から依頼を受け建て替え計画を進めている東京の不動産会社が提訴し、1、2審で明け渡しを命じる判決が出て最高裁で係争中。夫婦は「使える建物をなぜ取り壊すのか。最高裁の判断を待ってほしい」と憤っている。
マンションは1969年に分譲された「千里桃山台第2団地」。老朽化などを理由に2005年3月、区分所有者の8割を超す賛成で管理組合が高層棟への建て替えを決めた。02年の区分所有法改正で8割以上が賛成すれば建て替えられる。
住民は05年11月に一斉退去したが、2世帯が残ったため不動産会社が提訴。もう1世帯は強制執行で立ち退いた。
判決には「仮執行宣言」が付けられ、確定前でも強制執行が可能。不動産会社は「仮住まいの費用がかさみ、先の見えない不安を抱く世帯が要望している」と話している。