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2008年12月12日(金) 20時07分

麻生首相「先進国で最も早い不況脱出を目指す」産経新聞

 麻生太郎首相は12日夜、首相官邸で総額23兆円の「生活防衛のための緊急対策」を発表し、「先進国の中で最も早く不況から脱出することを目指す」と述べた。記者会見の詳細は以下の通り。

 【冒頭発言】

 「急なことではありますが、ぜひ国民のみなさまにお話ししたいことがあり、記者会見を開かさせていただきました。内容は、『生活防衛のための緊急対策』についてであります。アメリカの金融危機、これ、尋常ならざる早さで実体経済、実物経済へ影響をいたし始めております。これまで、(平成20年度)第1次補正予算に続いて、生活対策の策定をさせていただき、そして生活者の安全保障と、そして金融の安定を最優先に対策を講じてきたところです。しかし、その後も経済の悪化は予想を超えるものとなっております。今日もご存じのように、証券市場は株価が下落。株価(為替)も円高に大幅に触れておりました。そのため、次のような果断な対策を第2次補正予算および平成21年度の当初予算において、ぜひ対策を打ちたいと思い…考えております。特に年末を控え国民生活を防衛するため、雇用と企業の資金繰りを最重要課題といたします」

 【財政上の対応】

 「これらの対策の規模は、第1に、財政上の対応として10兆円。これには平年度で住宅(ローン)減税や設備投資減税などの総額約1兆円規模の減税も含まれております。そして第2に、金融上の対応として、保証、融資枠の設定が13兆円となります。政府としては、国民生活の不安を取り除く。そして、少なくとも先進国の中では最も早く今回の不況から脱出することを目指して、あらゆる努力を行いたいと考えております」

 【雇用対策】

 「まず急がなければならないのは、雇用対策だと存じます。特に、年末までに急がなければならない。年度末ではありません。年末までにやらなければならないことは、雇い止めや解雇された方々の住宅問題、住居問題です。社宅を追い出されるとすむ場所がなくなる。この方たちのためにも直ちに、引き続き社員寮などは住み続けられるよう、事業主に要請します。そして後日、事業主の方々には助成をいたしたいと存じます。1万3000戸ある雇用促進住宅、ここにおいての受け入れを行います。また、住宅入居費用を貸し付けたいと存じます。加えて、内定取り消し、この対策として、企業名の公表を含めて指導を徹底したいと存じます。また、第2次補正(予算)において職を必要とする非正規労働者などに、地域において雇用機会というものをつくるため、すでに生活対策で発表したものと合わせて過去最大4000億円の基金を創設いたします。21年度におきましては、雇用保険料の引き下げと、給付の見直し。そして非正規労働者などの雇用維持対策、再就職への新たな支援を行いたいと存じます。これらは合計で約1兆円の追加となります」

 【地方交付税増額】

 「さらに21年度において、地方交付税を1兆円増額いたします。これによって地方が実情に応じて、自主的に雇用創出の事業などを実施できるようになります」

 【経済緊急対応予備費】

 「次に、21年度予算において1兆円の経済緊急対応予備費を新設いたします。先日、閣議決定をいたしました予算編成の基本方針におきまして、世界の経済金融情勢の急激な変化を受け、状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行う、としましたのはご存じのとおりです。今後、予期せぬ新たな事態に備えて、この予備費を新設しておきたいと存じます。その使途としては雇用、中小企業金融、社会資本整備などを考えております」

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081212-00000590-san-pol